メンタルヘルスの国際比較

このページはOECDが、大掛かりな精神疾患とメンタルヘルスに関する調査を各国で実施したOECD FACT BOOKから援用したデータに基づいています。

Overview

Mental health problems are not uncommon. The share of people reporting having experienced any type of mental health disorder in the previous year ranged from 9% in Italy, Japan, Spain and Germany, to between 12 and 15% in Belgium, Mexico and the Netherlands, 18% in France and 26% in the United States. More people report having incurred some mental health disorders during their lifetime, with shares ranging from 18% in Italy and Japan, to around 40% or more in New Zealand and the United States.

In all countries, the most common disorders are due to anxiety followed by mood disorders. Rarer are those due to impulse control and use of substances. A large part of all mental disorders are classified as mild, but close to 5% of the population of the countries covered report moderate disorders, and a further 3% serious disorders - with a prevalence close to 10% in the United States.

Most mental health disorders go untreated. The proportion of disorders receiving treatment varies from 8% in Italy to 26% in the United States. While the proportion of treatment is higher for serious and moderate cases (at 48% and 31%, respectively), many serious cases receive no treatment.

Across the 21 European countries, the mental health index reveals relatively poor mental health in Turkey and, to a lesser extent, in Italy and Poland. The mental health index suggests good levels of mental health in Norway, followed by the Netherlands, Ireland and Denmark. Differences are relatively small for countries ranked in the middle of distribution of the mental health index.

概要

日本でもメンタルヘルスの問題は近年大きくクローズアップされているが、他国と比較して日本の状況はどの程度なのでしょうか。ここでは、WHOによって大規模に実施された疫学的調査(世界メンタルヘルス調査)の結果を引用しているOECD FACT BOOK 2009の調査データを基にしています。

健康ロスの国際比較

メンタルヘルス障害(心の病、精神疾患)は、個々人にとって苦痛であるばかりでなく、治療費や仕事の効率性低下や休暇によって失われる経済的コストは計り知れません。DALY指標による寿命換算の社会的コスト計測によると、失われた経済的コストの金額評価は英国ではGDP2%以上、カナダでそれを若干下回ると見積もられています。(OECD FACT BOOK 2009)。

この調査では共通の診断法に基づき各種の障害と重症度、受診率(診療を受けたかどうか)の状況を調べています。対象となった障害は、不安障害(anxiety disorders)、感情[気分]障害(mood disorders)、衝動調節にかかわる障害(disorders linked to impulse control)、アルコールや薬物の使用による障害(disorders due to use of alcohol and drugs)です。

メンタルヘルスの国際比較

メンタルヘルス障害の有病率(prevalence)を過去12月(年間有病率)と12カ月と限定せず過去に患ったことがあるかの人口比(生涯有病率)で見てみると日本は年間有病率でイタリアに次ぐ低さ(人口比8.8%)であり、生涯有病率では最低水準(18.0%)である。

自殺率の国際比較
日本は先進国で最も高い自殺率水準であるので、自殺の引き金となるメンタルヘルス障害の有病率も高いと考えられているかも知れないが実は逆なのである。自殺率では日本の半分の米国のメンタルヘルス有病率が対象10カ国の中では最も高く、ニュージーランドが米国に続いている。
確かにメンタルヘルス障害が破滅的な行動に結びつく可能性は高いと思われるが、それが自殺というかたちを取るか、肥満、アルコール・薬物依存、賭事、犯罪、他殺・傷害、無謀運転、社会騒乱、戦争等、何に結びつくかは各国の宗教、伝統、習慣など精神風土の違いや社会状況、歴史的経緯によっていると考えられる。

メンタルヘルス障害の内容

各国とも不安障害が最も多く、感情障害(うつ病・躁うつ病など)が続いている。衝動調節障害や薬物乱用は比較的少ない。日本は不安傷害、感情障害ともに各国の中で最も低い有病率となっている。各国とも各障害はメンタルヘルス障害全体の有病率と概して比例した高さとなっているが、米国の衝動調節障害だけは特段高い値となっているのが目立つ。
軽度、中度、重度に分けた重症度別の年間有病率を掲げた。日本は、軽度が少なく、重度、中度が多くなっており、重度だけであると下から4位となり、中度だけであると高い方から第4位の水準になっている。また重度だけで見ると米国よりニュージーランドの方が多い。
メンタルヘルス疾患の患者が治療を受けているかである。第4図では重症度別に受診率を掲げている。当然であるが、各国とも重症な患者ほど受診率が高くなっている。もっとも重度の患者でも受診率が2065%となっており、治療を受けていない精神疾患の患者が世界的にかなり多いことがうかがわれる。

受診率
重度患者の受診率についてはデータのない国もあるので、中度の患者の受診率で各国を比較すると、ベルギーの受診率が50.0%と最も高く、日本は16.7%で最低である。心の病気に関しては日本の場合は病院に行かない割合が非常に高いのである。日本の場合は、メンタルヘルス疾患の患者が多いのが問題なのではなくて、むしろ、病気にかかっても医者に見てもらわない、見てもらいにくいのが問題なのである。
なお、ここで比較対象となっている国は10カ国であり、年間有病率の低い順に、イタリア、日本、ドイツ、スペイン、ベルギー、メキシコ、オランダ、フランス、ニュージーランド、米国である。

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