資格
認知行動療法トレーニング・ガイドライン
Guidelines
認知行動療法トレーニング・ガイドライン
認知行動療法トレーニングガイドラインは,認知行動療法の基礎と各論から構成されています。
認知行動療法の基礎
認知行動療法の理論と発展,ケースフォーミュレーション,面接の構造化と基本的態度・応答技術,認知行動療法を構成する基本技法,臨床研究の方法論と倫理
各論
うつ病の認知行動療法,不安症の認知行動療法, 学級集団に対する認知行動療法, 就労支援における認知行動療法,司法・犯罪・嗜癖の認知行動療法,嗜癖の認知行動療法, 社会内での司法・犯罪・嗜癖の認知行動療法,子育て支援における認知行動療法,職域の予防的取組みにおける認知行動療法,PTSDの認知行動療法,学校での個別支援における認知行動療法
単位認定のWS科目名 | 時間数 | CBTトレーニングガイドラインの項目 | ||
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大項目 | 中項目 | カテゴリ | ||
認知行動療法の理論と発展 | (3時間) | 認知行動療法の理論と発展 | 認知行動療法の歴史と発展 | 認知行動療法の基礎 |
行動理論(レスポンデント、オペラント、観察学習、機能分析,言語行動、関係フレーム理論) | ||||
認知理論 | ||||
ケースフォーミュレーション | (3時間) | CBTのアセスメント,ケースフォーミュレーション,治療計画、治療アウトカムの測定 | アセスメントの進め方 | |
ケースフォーミュレーションと治療計画の立案 | ||||
アウトカムデータの測定と評価 | ||||
ケースフォーミュレーションの共有 | ||||
治療効果に関する情報提供 | ||||
変化のための動機づけ | ||||
面接の構造化と基本的態度・応答技術 | (6時間) | クライエントとの協働的関係を築くために必要な基本的態度と方略 | セッションの構造化 | |
アジェンダ設定 | ||||
セッションの振り返り | ||||
ホームワークの設定 | ||||
セルフモニタリングの活用 | ||||
誘導による発見 | ||||
段階的目標設定と活動スケジュール | ||||
問題解決テクニック | ||||
行動実験 | ||||
尺度の活用 | ||||
再発予防 | ||||
認知行動療法を構成する基本技法 | (6時間) | 認知行動療法を構成する基本技法 | リラクセーション | |
エクスポージャー法 | ||||
認知再構成法 | ||||
問題解決療法 | ||||
ソーシャルスキルトレーニング | ||||
注意訓練 | ||||
マインドフルネス技法 | ||||
行動活性化療法 | ||||
応用行動分析 | ||||
ACT | ||||
動機づけ面接 | ||||
(継続的なス-パービジョンの中で扱う) | 個別性への最適化と困難ケースへの対応 | |||
スーパービジョンの効果的な活用法 | ||||
臨床研究の方法論と倫理(臨床実践における倫理を含む) | (3時間) | CBT実践家としての倫理 | ||
臨床研究・臨床試験の方法論とその評価 | ||||
うつ病への認知行動療法(各論) | (6時間) | うつ病の認知行動モデルの理論と発展 | うつ病に関する諸理論(ベックモデル,ティーズデールモデル,学習性無力感理論,など) | うつ病の認知行動療法 |
うつ病のアセスメントとケースフォーミュレーション | ||||
リスクアセスメント,状態把握,うつ病に関連する問題歴および現病歴 | ||||
うつ病の認知行動療法を構成する基本技法 | 活動スケジュール | |||
行動活性化療法 | ||||
認知再構成法 | ||||
効果的なホームワークの活用 | ||||
再発予防 | ||||
うつ病治療における個別性への対応と最適化 | ||||
代表的なうつ病の治療プロトコル(認知療法、行動活性化療法など) | ||||
うつ病の重症度に応じた段階的治療モデル | ||||
不安症への認知行動療法(各論) | (6時間) | 不安症の認知行動モデルの理論と発展 | 不安症に関する諸理論(Heimbergモデル,Clarkモデル,Barlowモデル,Steketee/Kozac & Foaモデル,Borkovecモデル,Dugas/Ladouceuモデル,Zinbarg/Craske/Barlowモデル,Foa/Rothbaumモデル,Resickモデル,Ehiersモデル) | 不安症の認知行動療法 |
不安症のアセスメントとケースフォーミュレーション | ||||
リスクアセスメント,状態把握,不安症に関連する問題歴および現病歴 | ||||
不安症の認知行動療法を構成する基本技法 | エクスポージャー | |||
問題解決療法 | ||||
リラクセーション | ||||
行動実験 | ||||
効果的なホームワークの活用 | ||||
注意訓練 | ||||
再発予防 | ||||
不安症治療における個別性への対応と最適化 | ||||
代表的な不安症および不安関連障害の治療プロトコル | ||||
不安症および不安関連障害の重症度に応じた段階的治療モデル | ||||
学級集団に対する認知行動療法(各論) | (6時間) | 学級集団に対する認知行動療法の基礎理論 | 子どもと青年における認知行動理論 | 学級集団に対する認知行動療法 |
学級集団に対するアセスメント | アセスメント方法の選定 | |||
効果判定の方法 | ||||
学校での実施方法 | 指導案と教材の作成 | |||
学級経営 | ||||
校内連携 | ||||
学級集団に対する認知行動療法の基本技法や介入プロトコル | 心理教育 | |||
リラクセーション | ||||
ソーシャルスキルトレーニング | ||||
アサーショントレーニング | ||||
認知再構成法 | ||||
問題解決訓練 | ||||
エクスポージャー法 | ||||
ストレスマネジメント | ||||
予防プログラム(抑うつ・不安) | ||||
その他の介入プロトコル | ||||
就労支援における認知行動療法(各論) | (6時間) | 職業リハビリテーション基礎論 | 法制度と支援機関及び機関連携 (1)労働法関連機関(2)総合支援法関連機関(3)生活困窮者自立支援法機関 (4)子ども・若者育成支援推進法(5)医療法(6)発達障害者支援法 ICFに基づくアセスメント クライシスプラン、キャリア支援、コンサルテーション、ケアマネジメント |
就労支援における認知行動療法 |
精神障害・発達障害のある方への認知行動理論 | うつ病の認知モデル 不安症の認知行動療法の基盤となる研究 統合失調症の認知行動療法の基盤となる研究 ASD者への認知行動療法の基盤となる研究 ADHD者への認知行動療法の基盤となる研究 発達障害者への行動分析の基盤となる研究 |
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就労支援における認知行動療法の基本的要素 | アセスメント (CBTの相互作用システム、知能検査、厚労省編職業適性検査、行動観察 (ワークサンプル、幕張版ワークサンプル:MWS)、 本人のニーズ、障害特性、自己理解、半構造化面接、動機付け面接) 基本技法 (職場のアセスメント・課題分析、シェイピング、モデリング、般化、フェイディング、行動実験、 セルフモニタリング) 効果測定 (行動観察と行動評定、就労定着日数、心理尺度) |
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就労支援における認知行動療法の介入プロトコル | SST | |||
心理教育 | ||||
問題解決訓練 | ||||
認知再構成 | ||||
アサーション | ||||
マインドフルネス | ||||
認知機能トレーニング | ||||
リワークプログラム | ||||
就労準備プログラム | ||||
司法犯罪領域で用いられる改善指導プログラム | ||||
就労支援における認知行動療法を用いた支援事例(基本編:就労支援のプロセスに沿って) | 就労支援のプロセス | |||
1.就労支援までの道のりの支援 | ||||
2.就労相談からアセスメントの支援 | ||||
3.準備訓練から職場開拓・マッチングの支援 | ||||
4.職場適応支援から職場定着に向けた支援 | ||||
5.職場定着支援における再適応の支援 | ||||
就労支援における認知行動療法を用いた支援事例(応用編) | 事例紹介とグループワーク | |||
1.就労に向けた動機付けとアセスメント | ||||
2.準備訓練と職場定着に向けたアセスメントと支援 | ||||
3.就労支援における終結(フェイディングと般化) | ||||
4.最近のトピックス:罪を犯した人への就労支援における司法・医療・福祉連携 | ||||
司法・犯罪分野における認知行動療法(各論) | (6時間) | 犯罪・非行の認知行動モデルの理論と発展 | 犯罪・非行に関する諸理論 | 司法・犯罪・嗜癖の認知行動療法 |
嗜癖の認知行動モデルの理論 | ||||
犯罪・非行のアセスメントとケースフォーミュレーション | RNR原則とアセスメント | |||
機能分析に基づくケースフォーミュレーション | ||||
犯罪・非行をした者に対する認知行動療法の基本的要素 | 中核的な実務のスキル | |||
犯罪・非行をした者とのコミュニケーションスキル | ||||
セッションの構造化とホームワークの活用 | ||||
集団認知行動療法の活用 | ||||
矯正精神医療の理解 | ||||
犯罪・非行をした者に対する認知行動療法の基本技法 | 認知再構成法 | |||
リラクセーション | ||||
ソーシャルスキルトレーニング | ||||
その他の介入技法 | ||||
矯正施設内と社会内での実施方法 | 家庭裁判所における教育的措置 | |||
保護観察所の専門的処遇プログラム | ||||
刑事施設の特別改善指導と少年院の特定生活指導 | ||||
司法精神医療と触法精神障害者の処遇 | ||||
多職種・多機関連携 | ||||
関連法規・組織の概要・文化・倫理 | ||||
家庭内紛争の基礎理論 | 家庭内紛争の理解 | |||
子どもの発達段階と発達特性の理解 | ||||
家庭内紛争が子どもに与える影響についての理解 | ||||
家庭内紛争のアセスメントとケースフォーミュレーション | 争点または焦点の明確化 | |||
紛争解決の指針と意見 | ||||
家庭内紛争に関する基本技法 | DVや虐待への認知行動療法プログラム | |||
司法面接の知識 | ||||
認知行動療法に基づく家族支援 | ||||
動機づけ面接 | ||||
家庭内紛争での実施方法 | 多職種・多施設連携 | |||
関連法規・組織の概要・文化・倫理 | ||||
嗜癖への認知行動療法(各論) | (6時間) | 嗜癖に対する心理学的支援の基礎理論 | 嗜癖行動の理解と配慮 | 嗜癖の認知行動療法 |
動機づけ面接の精神に基づく理解 | ||||
嗜癖の認知行動モデルの理論と発展 | 行動理論からの嗜癖の理解 | |||
認知理論からの嗜癖の理解 | ||||
リラプス・プリベンション | ||||
嗜癖のアセスメントとケースフォーミュレーション | 嗜癖行動と重症度のアセスメント | |||
クロスアディクションと重複障害のアセスメント | ||||
行動変容ステージモデルに基づく動機づけのアセスメント | ||||
セルフモニタリングの活用 | ||||
機能分析に基づくケースフォーミュレーション | ||||
目標設定 | ||||
嗜癖の認知行動療法を構成する基本技法 | 刺激性制御 | |||
渇望のコントロール | ||||
認知再構成法 | ||||
ソーシャルスキルトレーニング | ||||
効果的なホームワークの活用 | ||||
再発予防 | ラプスとリラプスの心理教育 | |||
再発予防計画の作成支援 | ||||
代表的な嗜癖の治療プロトコル | Therapy Manuals for Drug Addictionなど | |||
嗜癖に対する心理学的支援における特殊性への対応と最適化 | 利用可能なサービスや支援制度に関する情報提供 | |||
多職種・多施設連携のコンサルテーション | ||||
重複障害への対応 | ||||
集団認知行動療法の活用 | ||||
被害者支援における認知行動療法(各論) | (6時間) | 被害者支援の基礎論 | 基本的対人支援スキル | 社会内での司法・犯罪・嗜癖の認知行動療法 |
トラウマ反応の理解に基づく対応 | ||||
オーバーエンゲージメントへの対応 | ||||
二次受傷の予防 | ||||
被害者支援への認知行動療法の基礎理論 | 心理学的ストレスモデル | |||
不安や恐怖に関連する認知行動理論 | ||||
PTSDに対する認知行動モデル | ||||
被害者支援における認知行動療法の基本的要素 | 心理・社会・身体的状態の包括的な評価 | |||
リスク要因とサポート資源の評価 | ||||
優先課題の特定と共有 | ||||
被害者支援における認知行動療法の基本技法や介入プロトコル | 心理教育 | |||
リラクセーション | ||||
ストレスマネジメント | ||||
トラウマに特化した認知行動療法 | ||||
被害者支援における特殊性への対応と最適化 | 利用可能なサービスや支援制度に関する情報提供 | |||
多職種・多施設連携のコンサルテーション | ||||
ソーシャルワークと危機介入 | ||||
被害者家族への支援 | ||||
コミュニティ支援とマスメディア対応 | ||||
子育て支援における認知行動療法の適応(各論) | (6時間) | 子育て支援に関わる 法・制度・機関・心理師の役割 |
法・制度 | 子育て支援における認知行動療法 |
子育て支援関連機関における心理師の役割 | ||||
子育て支援の要素・プロセスとCBT | 子育て相談 アセスメント |
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子育て支援プログラム | ||||
移行支援 | ||||
多職種連携・地域連携 | ||||
子育て支援にCBTを活用した仮想事例 | 親訓練の事例 | |||
児童期発達障害の事例 | ||||
虐待の事例 | ||||
職域の予防的取組みにおける認知行動療法(各論) | (6時間) | 職域の予防的取組みに対する認知行動療法の基礎 | 職域の疾病予防に関する今日的課題 | 職域の予防的取組みにおける認知行動療法 |
産業・労働分野で適用される認知行動療法の理論 | ||||
職域での教育研修(1次予防) | 個への支援と集団への支援 | |||
職域でのケース対応(2次予防) | 職域におけるケース対応の特徴 | |||
職域におけるアセスメント、ケースフォーミュレーション、対応計画の立案と記録 | ||||
職域におけるCBTの活用と効果測定 | ||||
関係者へのコンサルテーション | ||||
職場復帰支援(3次予防) | 職場復帰支援で応用される認知行動療法の基礎知識 | |||
休務中に行われる認知行動療法的アプローチ事例 | ||||
復職後に行われる認知行動的アプローチ事例 | ||||
復職者の関係者との連携とコンサルテーション | ||||
職域の活動に活かす生活習慣改善に関する基礎スキル | 問題行動(習慣)のアセスメントと介入技法の適用 | |||
仕事と治療の両立支援に関する基礎知識 | 職域における両立支援に関する今日的課題 | |||
PTSDにおける認知行動療法(各論) | (6時間) | PTSDの基礎論 | PTSDの問題や治療に関する知識 | PTSDの認知行動療法 |
クライエントとの協働関係の形成(インフォームドコンセント含む) | ||||
トラウマ反応の理解に基づく対応 | ||||
二次受傷の予防 | ||||
PTSDに対するアセスメント | 心理・社会・身体的状態の包括的な評価 | |||
リスク要因と回復要因の評価 | ||||
標準化された尺度や面接法の活用 | ||||
優先課題の特定と共有 | ||||
PTSDの認知行動療法の基礎理論 | 持続的エクスポージャー療法(PE)のFoa & Rothbaumモデル | |||
認知処理療法(CPT)のResickモデル | ||||
認知療法(CT)のEhlers & Clarkモデル | ||||
PTSDにおける認知行動療法の基本技法 | 心理教育 | |||
認知再構成法 | ||||
エクスポージャー | ||||
再発予防 | ||||
PTSDにおける認知行動療法の介入プロトコル | 持続的エクスポージャー療法(PE) | |||
認知処理療法(CPT) | ||||
認知療法(CT) | ||||
学校での個別支援における認知行動療法(各論) | (6時間) | 学校にかかわる基礎知識 | 学校にかかわる法律・制度 | 学校での個別支援における認知行動療法 |
学校での個別支援にかかわる公的指針 | ||||
学校臨床における職業倫理 | ||||
心理社会的困難の理解とアセスメント | 生徒指導上の諸問題 | |||
症状・個人特性のアセスメント | ||||
環境・システムのアセスメント | ||||
学校でのケースフォーミュレーション | マクロなフォーミュレーション(全体構造の理解) | |||
ミクロなフォーミュレーション(特定の場面での具体的作用・仕組みの理解) | ||||
「生徒指導上の諸問題」を認知行動療法での対応のフレームワークに落とし込む | ||||
ポジティブ行動支援 | ||||
心理社会的ストレスモデル | ||||
3段階の心理教育的援助サービス | ||||
個別支援のフレームワーク | 随伴性マネジメント | |||
サポート資源の整備(子どもを支援する人への支援) | ||||
子どもの動機づけ支援 | ||||
子どものスキル形成 | ||||
学習方略形成 | ||||
キャリア構築支援 | ||||
危機介入・緊急支援 | ||||
多職種連携と学校チームマネジメント | 個別支援を円滑にする学校環境づくり | |||
問題発生前の段階的関係形成 | ||||
問題発生時の学校チームマネジメント | ||||
外部機関との連携 |
※各論は、領域や対象を考慮して、順次追加していきます
参考資料
伊藤大輔・小関俊祐・小野はるか・木下奈緒子・小川祐子・栁井優子・鈴木伸一 印刷中 臨床心理士養成大学院におけるCBTトレーニングの基本構成要素と教育方法 ― 日本のトレーニング・ガイドラインの策定に向けた実態調査 ― 認知行動療法研究
鈴木伸一・小関俊祐・伊藤大輔・小野はるか・木下奈緒子・小川祐子・柳井優子 2018 英国のCBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法 ― 日本におけるCBTトレーニング・ガイドライン策定に向けた取り組み ― 認知行動療法研究,44(2),93 -100.
小関俊祐・伊藤大輔・小野はるか・木下奈緒子・柳井優子・小川祐子・鈴木伸一 2018 認知行動療法トレーニングにおける基本構成要素の検討 ― 英国のガイドラインに基づく検討 ― 認知行動療法研究,44(1),15 -28.
柳井優子・小川祐子・木下奈緒子・小関俊祐・伊藤大輔・小野はるか・鈴木伸一 2018 認知行動療法の実践で必要とされるコンピテンスの概念構成の検討 ― 英国のImproving Access to Psychological Therapies制度における実践家養成モデルに基づく検討 ― 認知行動療法研究,44(2),115 -125.