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日本認知・行動療法学会第49回大会 ダイバーシティ推進研究ポスター賞
日本認知・行動療法学会第49回大会では,応募されたポスター発表の中から,ダイバーシティ推進に優れたものに対して,ダイバーシティ推進研究ポスター賞(金賞、銀賞、銅賞)を授与しました。
2023年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞
金賞「大学生を対象とした認知行動的ダイバーシティ促進プログラムの開発とその効果」
大植崇(兵庫大学)
2023年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞金賞受賞コメント(大植崇)
この度は、2023年度JABCTダイバーシティ推進研究ポスター賞を賜り、誠にありがとうございます。選考委員会の先生方には、心から感謝申し上げます。
2022年度受賞した研究結果では、「ダイバーシティ風土」⇒「不合理な信念」⇒「主観的健康感」のモデルの適合度が高かく、ダイバーシティ促進に対する認知行動療法は、認知の歪みを修正する、認知再構成法などの介入が有効である可能性を示唆しました。2023年度は、大学生を対象とした認知再構成法による認知行動的ダイバーシティ促進プログラムの開発とその効果を検討した研究です。本プログラムは、大学生の認知を変容し、ダイバーシティ促進に効果的であることが分かりました。
今後、ランダム化比較対照試験など、コントロール群を設けた研究デザインによる検討を行い、ダイバーシティ促進に対する認知行動療法の有効性を検討する所存です。
本研究は、兵庫大学プロジェクト経費で行われた研究です。本研究にご協力いただきました、兵庫大学の皆様に感謝申し上げます。本研究を進めるに当たり、兵庫大学副学長の大平曜子先生、兵庫大学障害支援オフィスの剱物和弘先生の協力を得ました。ここに感謝の意を示します。
今回の受賞は、皆様の賜物であると捉え、今後も継続して、「ダイバーシティ」に関する研究・実践に取り組んでいけるよう、より一層の精進を重ねていく所存です。今後も、皆様方のより一層のご指導ご協力を賜ります様、宜しくお願い致します。
銀賞「精神疾患に対して子どもが有するパブリックスティグマ低減プログラムの効果:小中学生を対象としたシステマティックレビュー」
眞島凌(神戸市こども家庭センター)、山本哲也(徳島大学)、石川信一(同志社大学)
2023年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞銀賞受賞コメント(眞島凌)
この度は,2023年度JABCTダイバーシティ推進研究ポスター発表銀賞を賜り,誠にありがとうございます。ご指導いただいた先生方,研究に協力いただいた皆様方,選考委員会の先生方に,心より感謝申し上げます。
本研究は精神疾患に対して子どもが有するパブリックスティグマ低減プログラムの効果について,小中学生を対象としたシステマティックレビューを行いました。
その結果,うつ病予防プログラム介入において,中学生が有するパブリックスティグマの有意な低減効果が認められました。
本研究において,中学生を対象とした場合,成人を対象とした研究において有意に低減すると考えられていた介入方法の効果が認められず,年齢別に介入方法を検討することの必要性が示唆されました。
今回の受賞は,本研究にご協力いただいた山本哲也先生,石川信一先生をはじめとした皆様のご協力の賜物です。自身の修士論文を発表につなげ,身に余るような素晴らしい賞をいただけたこと,深く感謝申し上げます。
今後も継続して臨床・研究の研鑚を重ね,精進してまいります。
銅賞「在日コリアンにおける異文化適応ギャップ評価項目の作成」
佐々木三紗(早稲田大学大学院)、前田千晴(早稲田大学大学院)、桂川泰典(早稲田大学)
2023年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞銅賞受賞コメント(佐々木三紗)
この度は,2023年度JABCTダイバーシティ推進研究ポスター発表銅賞を賜り,誠にありがとうございます。調査にご協力いただいた皆さま,ご指導いただいた先生方,選考委員会の先生方に,心より感謝申し上げます。
今回の研究では,朝鮮半島にルーツをもつ青年の,親子間の移住先社会への適応度・適応戦略のギャップである「異文化適応ギャップ」の評価項目の作成にあたり,インタビュー調査を行いました。
結果から,進学や就職・結婚などのライフイベントにおいて,儒教思想のちがいなどの異文化適応ギャップが生じ,青年の心理的問題に影響を与えている可能性が示唆されました。
今後は,異文化適応ギャップ尺度の信頼性・妥当性の検討や,尺度を用いた認知行動的介入の有効性の検討を行う所存です。
今回の受賞を励みに,朝鮮半島にルーツをもつ青年をはじめとした多様なルーツをもつ人々を,当たり前に尊重し合えるような社会の実現を目指し,研究と臨床に取り組んで参りたいと思います。
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