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日本認知・行動療法学会第50回記念大会(2024年度) ダイバーシティ推進研究ポスター賞

日本認知・行動療法学会第50回記念大会では、応募されたポスター発表の中からダイバーシティ推進に優れたものに対して、ダイバーシティ推進研究ポスター賞(金賞、銀賞、銅賞)を授与しました。

日本認知・行動療法学会第50回記念大会(2024年度)ダイバーシティ推進研究ポスター賞

金賞 「妊娠期における配偶者によるサポートと産後の抑うつの関係」
笠原 あき穂(立教大学大学院現代心理学研究科)

金賞 受賞コメント(笠原 あき穂)

 このたびは、2024年度JABCTダイバーシティ推進研究ポスター賞という栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。選考に携わってくださった先生方、本研究にご協力いただいた多くの皆様、そして本研究においてご指導・ご助言を賜りました岡島純子先生、松永美希先生に、心より御礼申し上げます。
 本研究では、「妊娠期における配偶者によるサポートと産後の抑うつの関係」をテーマに、産後の配偶者からのサポートを統制した上でも、妊娠中の配偶者からのサポートの満足感が産後の抑うつ傾向を有意に予測することを明らかにしました。また、自由記述の分析からは、配偶者からの道具的サポートは比較的多く得られていた一方で、情緒的サポートが不足している可能性が示唆されました。
 これらの結果は、妊娠期における配偶者からのサポートの満足感が、産後の母親のメンタルヘルスに影響を及ぼす可能性を示すものであり、早期からの支援の重要性を示唆するものと考えられます。また、情緒的サポートに関する示唆は、今後の支援において着目すべき重要な視点の一つであると受け止めています。
 現在は、本研究をもとに、配偶者による情緒的サポートを促進する心理教育プログラムの開発を目指して、修士論文研究に取り組んでおります。
 今回の受賞を励みに、今後も周産期における家族支援や女性のメンタルヘルスの向上に貢献できるよう、研究・実践の両面で精進してまいります。

銀賞「大学生を対象とした認知行動的Diversity教育プログラムの介入効果に関する比較試験」
大植 崇(岡山大学)

銀賞 受賞コメント(大植 崇)

 このたびは、認知行動療法学会 第50回記念大会 ダイバーシティ推進研究ポスター 銀賞という栄誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。  本研究「大学生を対象とした認知行動的Diversity教育プログラムの介入効果に関する比較試験」は、多様性への理解と受容を促進することを目的に実施いたしましたが、その意義を認めていただけたことを大変嬉しく思っております。
 本研究を進めるにあたり、ご協力いただいた学生の皆様、協力者の方々、そして日頃よりご指導・ご支援くださっている関係者の皆様に心より感謝申し上げます。今後も認知行動療法の知見を活かし、誰もが尊重される社会の実現に寄与できるよう、研究と実践に努めてまいります。

銅賞「高齢者におけるわりきり志向と目標への関与が精神的健康に与える影響」
佐藤 敦耶(元立教大学大学院現代心理学研究科)

銅賞 受賞コメント(佐藤 敦耶)

 この度は、日本認知・行動療法学会第50回記念大会のダイバーシティ推進研究ポスター発表 銅賞を賜り、誠にありがとうございます。ご選考いただきました先生方に、心より感謝申し上げます。
 本研究では、目標を諦める際に「なぜ諦めるのか」という意図や動機を「目標レベルでの諦め」とした上で、「個人が葛藤状態にある際に目標レベルでの諦めを有する個人傾向」と定義される「わりきり志向」(浅野,2010)に着目しました。そして、高齢者300名にオンライン上で調査を実施し、わりきり志向が目標への関与、精神的健康に与える影響について検討しました。
 本研究の結果、わりきり志向、目標への関与、精神的健康の関連について、高齢者においても大学生と同様の関連があることが明らかになりました。また、生活機能の低い高齢者においても、わりきることの有効性や新たな目標に価値を見出すことに着目できるよう介入を行うことが、精神的健康の維持・増進につながる可能性があることも示唆されました。
 本研究を進めるにあたり、ご指導をいただきました松永美希先生をはじめ、ご助力いただきました先生方に、厚く御礼を申し上げます。また、調査にご回答いただきました皆様、本研究にご協力いただきました全ての方に、深く感謝いたします。
 今後も、臨床と研究に精進して参りたいと思います。

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